1月と2月に、オンラインにてシンポジウムを開催しました。今年度は昨年度に引き続きオンラインでの開催となりましたが、日本各地より多数の参加があり、各回とも活発な意見交換が行なわれました。

【第1回】空間デザインによる「場」のアイデンティティ形成

講演内容

ランドスケープについて分かり易く説明がなされ、場所の持つ潜在的価値を発見し、消費されることのない持続的な体験ができる空間をつくることを学びました。講演では、高蔵寺駅の再整備、均質ではない街路景観、次世代の雑木林に関する具体的な事例が説明されました。また、大きな樹木を遠くから運んで植えるのではなく地域の植物を使う大切さを理解することができました。また、問題解決や魅力づくりには、それぞれの専門分野や担当の間の隙間に気づいて対応し、言葉、思想、構想などを、カタチ、空間、体験などにデザインする(翻訳する)ことが必要であり、そのためにはプロジェクトマネージメントとその評価が重要であるとの考えが示されました。

大学院芸術工学研究科 准教授 大野 暁彦

【第2回】名古屋駅裏のまなざし -戦後闇市の創造的破壊

講演内容

名古屋駅裏で出会った人たちの生活史を通じてリニア新幹線開発に直面する名古屋駅裏の街の構造と主体のせめぎあいに関する調査・研究が報告されました。講演では、個人・集団・社会構造を貫き捉えるものとして、個人の生活史研究の意義が述べられた上で、名古屋駅周辺の街の歴史的展開が説明されました。また、名古屋「駅裏」へ向けられる「まなざし」とその転換の重要性が述べられ、近代化・画一化・機能化・東京化する「駅西」へと脱却するのではなく、むしろ、それとは異なる「駅裏」の可能性が示唆された上で、「駅裏」の場所性を見つめ直すことこそ、「駅裏」の内発的発展に繋がるのではないかとの考えが示されました。

大学院人間文化研究科 准教授 林 浩一郎